水泳で短距離種目で、ベストを出すために大切なスプリント練習。皆さんはどんな内容を行なっていますか?
今回は次のような方向けに記事を書きました。
・今よりもっと効果的なスプリント練習をしたい方
・そもそも水泳の短距離選手がどんなメニューを行うべきか分からない方
本記事は、水泳の短距離選手が行うべきスプリントメニューで押さえるべきポイントと、メニューサンプルを紹介しています。是非ご覧ください。
スプリント練習の目的
まず最初に、スプリント練習の目的から整理できればと思います。目的は次の2つです。
1.出せる最大スピードを高める
2.最大スピードをできるだけ長く維持できるようになる
それぞれ補足させていただきます。
1.の「最大スピード」を高められると、レース序盤を速く泳ぐことができます。ここを高めるためには、筋肉が素早く、強い力を発揮できるよう「スプリント能力」を鍛える必要があります。
2.の「最大スピードを維持する力」が高められると、疲れが溜まりスピードが落ちはじめるレース中盤以降でも高いスピードを維持できます。そのためには、乳酸(疲労物質)が溜まった状態でも身体を動かせるように「耐乳酸能力」を鍛える必要があります
以上の2つを鍛えることがスプリント練習の目的です。
スプリント練習時のポイント
では「スプリント能力」と「対乳酸能力」を鍛えるためには、どのような点を意識して練習を行えばよいのでしょうか?練習を行う際に意識すべきポイントを見ていきましょう。
前提の共有になりますが、筋肉には「短時間で大きな力を発揮する速筋」と「長時間で一定の力を発揮する持久力に優れた遅筋」の2種類があります。運動強度が高くなればなるほど、速筋が使わることを覚えておきましょう。
「スプリント能力」と「対乳酸能力」を高めるのに必要なことで共通しているのが、速筋が使われる強度で運動することです。スプリント練習では次の3つのポイントを意識して、速筋が使われる運動強度を生めるようにしましょう。
ポイント①泳速
泳速が高ければ高いほど、速筋が使われます。大前提としてスプリント練習では、全力を出し切ることを念頭において実施しましょう。
ポイント②距離
距離が短ければ短いほど、全力で泳ぐ(高い泳速を出す)心理的ハードルも低くなります。スプリント練習は、短い距離を複数本繰り返すメニューの組み方が望ましいです。
ポイント③休憩時間
スプリント練習では、脈拍が落ち切るまで休憩時間をとりましょう。先述の通りスプリント練習は、短い距離で、1本1本を高い泳速で実施することが大切です。次の本数でも全力を出せるような休憩時間を設けるようにしましょう。
これらの3つのポイントを押さえることで、運動強度を高めやすくなります。スプリント練習を行う際には是非、チェックしてみてください。
サンプルメニュー紹介
では、「スプリント能力」と「耐乳酸能力」を高めるのに適切な泳速・距離・休憩時間はどれくらいになるのでしょうか?サンプルメニュー紹介を交えながら、説明していきます。
スプリント能力を強化する時
スプリント能力は、筋肉を素早く動かすための「神経系」と、筋肉が強い力を出すための「パワー」の2つの要素から構成されます。これらを鍛える上で以下の点を押さえて練習をしましょう。
①泳速
全力で100%の力を出しましょう。
②距離
10m〜12.5mまでの短い距離で高出力を出し切りましょう。
③休憩時間
45秒以上は設けましょう。脈拍をしっかり落として全力で泳げるようになったらスタートしましょう。回復までの必要秒数は個人差があると思いますので、ご自身にあった長さで設定することがポイントです。
※上記のポイントは神経系でもパワーでも共通です。
サンプルメニューも紹介しますので、参考にしてみてください。
神経系のメニューサンプル
壁を蹴らない状態で、泳ぎ出しの初速をつくるメニューです。通常時よりも瞬発力が必要になります。
実施イメージは以下の動画をみていただけると分かりやすいです。再生後20秒くらいでイメージをつかめます。
パワー系のメニューサンプル
パラシュートやパドルを使用し、通常時より負荷をかけてスプリントを行います。
実施イメージは以下の動画をみていただけると分かりやすいです。再生後10秒くらいでイメージをつかめます。
動画はパラシュートですが、代わりにパドルを使うやり方でもOKです。
アイテムの参考リンクも貼っておきますので参考にしてみてください。
▼パラシュート
▼パドル
パドルを比較して、おすすめのパドルを紹介している記事もありますので、気になる方は是非ご覧ください。
関連記事:元日本代表が「水泳のおすすめパドル」を目的別に解説。
耐乳酸能力を強化する時
乳酸が溜まっている状態を作り出し、その状態で耐えて身体を動かすことで、耐乳酸能力が向上させていきましょう。そのためのポイントは以下になります。
①泳速
全力の70〜80%以上の出力で泳ぎましょう。
②距離
100m以上が基本です。1本目の前半から積極的にスピードを出し、速い段階で乳酸を出せるように頑張りましょう。
③休憩時間
短距離選手が行う耐乳酸メニューは60秒〜120秒ほどのミドルレストで行う場合が多いです。
サンプルメニューも紹介しますので、参考にしてみてください。
対乳酸のメニューサンプル
100mを8本ハイスピードで泳ぎ切るメニューです。なるべく早い段階で乳酸を出して、頑張って耐えましょう。
耐乳酸メニューの実施後は疲労が残りますので、適切な休みや練習計画が大切になってきます。練習計画の立て方を説明している記事もありますので、気になる方は参考にしてみてください。
関連記事:狙った試合でベストタイムを出せる水泳練習メニューの作り方。5種類のサンプルメニューも紹介。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回はスプリント練習で意識すべきことや具体的なメニュー例を紹介させていただきました。行った練習を成果につなげるためにも、しっかりとポイントを押さえたメニュー設計をしていきましょう。
狙った練習効果を生むためのメニュー設計は、とても難しく悩まれることも多いと思います。日本代表選手を輩出しているコーチ陣が、メニュー設計のポイントを紹介しているトレシェアというサービスもあるので、気になる方は是非みてみてください。
関連記事:日本代表選手のメニューが見られる!?新サービス『トレシェア』とは?
また、コーチの方でより効果的な練習メニューを考えたいという方向けにも記事がありますので、是非ご覧ください。
参考記事:【コーチ向け】選手を成長させるために効率的に学び続けよう!
最後までお読みいただきありがとうございました。