こんにちは。水陸両用トレーナーの橋本です。

「プールで水中ウォーキングをすると膝に良いですよ。」

こんなフレーズを聞いたことありませんか? ここでのポイントは「膝に良い」という言葉で、実際には何がどう膝に良いのか?ということが大事です。

ただ膝に良いというだけなら、ただ単に「野菜は身体に良い」と言っているのと同じです。

水中ウォーキングは確かにエクササイズとして素晴らしく様々な利点がありますが、意外な落とし穴があります。そしてその落とし穴にハマっている方が非常に多いという現状があるので、現役の水陸両用トレーナーが長年に渡り現場を見てきて至った考えをご紹介します。

 

「膝に良い」の意味とは?

 

これは厳密に言うと、「浮力で身体が軽くなるから、体重過多で膝に痛みがある方には負担が軽減されるから良いですよ」という意味です。

膝の痛みが体重過多によるものであれば、プールに入れば確かに痛みは軽減されるかも知れませんが、プールから上がれば体重は戻ります。
人は陸上で生活していますので、陸上での重力がかかった状態に対応させなければいけません。


結局は陸上に適応させるトレーニングも必要になるのです。

私の周りには、プールでウォーキングをしただけで膝の痛みが改善され、その後も快適な生活を送れるようになった、という人はほとんどいません。

 

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そもそも何で膝が痛くなるのか?

 

そもそも膝は曲げ伸ばしがメインの関節であり、安定性が求められる関節です。


頻繁に捻ったり・横からの力が加わったりしたら痛めてしまいます。
しかし姿勢の崩れることで体重や地面の反発力が関節を正しく伝わらなくなったり、歩き方の崩れが顕著になってくると、もともと可動性優位な股関節・足首をちゃんと使わなくなることで安定性優位の膝関節に余計な動きや負荷を与えてしまいます。



それが何十年も続くと徐々にダメージが溜まり、やがて破綻をきたすわけです。年齢のせいではありません。姿勢の崩れや関節を正しく使わないことが根本原因です。

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水中ウォーキングの本当の効果とは?

 

水中ウォーキングはとても良いエクササイズです。しかしモノはやりようです。やり方がテキトーだったり、目的とズレていたら効果はでません。水の抵抗・水温・水圧・浮力を存分に活用することで抜群の効果があります。

のんびりダラダラお喋りしながらウォーキングをしていたら水の抵抗も効果はなく、水温が身体を冷やします。

そうなれば本来なら水圧が下肢の静脈還流を水圧のポンプ作用で活発にしますが、冷えた身体の筋肉は硬くなるのでその効果も疑問が残ります。

浮力は体重過多の膝痛には痛みの軽減になり運動の補助になりますが、そうじゃない膝痛は陸上でトレーニングをしたほうが効果はあるでしょう。

 

  • しっかりと水の抵抗を利用することで筋肉を強くします。しっかりやればウォーキングでも十分筋肉痛になります。
  • たくさん動くことで起こる体温の上がり過ぎを水温が抑えてくれてオーバーヒートを防ぎます。
  • 息が上がる程度動くと、水圧が心肺に負荷をかけるので心肺機能の向上に役立ち、また、心拍の上がり過ぎを軽減してくれます。
  • 浮力が身体の重さを軽減するので、陸上で動かせていない股関節や足首をダイナミックに動かせば、膝痛の改善に役立つでしょう。
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    大事なことは・・・

    この世にある様々なメソッドのエクササイズはどれも素晴らしいです。

    しかし指導する側がその意味をちゃんと理解し、勉強し、伝えなければいけません。本に書いていたこと、誰かに習ったことを自身の経験や技術の中で噛み砕かずにそのまま教えるだけでは良い指導ではないです。膝が痛いというだけで水中ウォーキングを進める指導者には疑問が残ります。指導を受ける側も身体の使い方に意識を高め、指導者に任せっきりにせず、自分の身体に責任を持つことが大事です。