本記事は、これから成長期に入る「女子ジュニア選手」をお抱えのコーチ・保護者の方向けの記事です。
女子と男子では成長期に入るタイミングや、そのタイミングで注意すべきことも異なります。
そこで今回は、女子ジュニア選手の成長支援するためにコーチや保護者の方が「これだけは絶対押さえておきたい!」というポイントをまとめました。
成長期前後の女子選手を担当しているコーチの方、自分の娘が水泳をやっている保護者の方は是非ご覧ください!
女子選手の成長期における身体の変化
それではまず、前提となる知識を揃えていきましょう。「女子の成長期における身体の変化」についてです。
女子は男子よりも成長期に入るタイミングが早いです。個人差はあるものの平均すると11歳頃に成長期が訪れます。
成長期に入った女子選手はホルモンバランスが変化していきます。ここでいう変化とは、女性ホルモンが増加していくことを指します。
この女性ホルモンの増加により、骨・筋肉が成長し、身体の形が変わってきます。また、月経の開始に伴い、日によっては筋肉への力の入り具合にばらつきが出たりすることもあります。
この章のまとめ
1.女子選手は11歳頃から骨・筋肉の成長が加速し、身体の形が変わってくる
2.成長期以降は月経などの影響で、筋発揮のパフォーマンスが悪い日が出てくる
水泳競技への影響
では、先程ご説明した「女子選手の身体の変化」が水泳競技にどのような影響を与えるのでしょうか?見ていきましょう。
身体の変化による影響
身体の形が変わるので、水中での身体の感覚が変わります。こちらについて補足をしていきます。
身体の感覚が変わる一例として、水中でのバランス感覚が崩れるという例があるのではないでしょうか。
まず前提として、水泳では、早く泳ぐために抵抗を減らすことが理想です。
水中では、適切な重心の位置をとって高いボディポジションを保つことが必要ですが、骨の成長により身体の骨格が変わるので、この重心をとるべき位置も変わってきます。
▼ボディポジションと抵抗の関係
なので、今までと同じ重心で泳ぐと、適切な重心がとれていなく、身体の位置が下がってしまい、結果的にさらに抵抗が増えてしまい、進まないという状態が生まれてしまいます。
このように、身体の形の変化に合わせて、今まで行っていた意識を変えていく必要性が出ていく訳です。
この意識改革を選手ひとりで行うのは至難の技です。そこで、コーチや保護者の支援がとても大切になってきます。
次の章では、女子選手の身体の変化に伴い、コーチや保護者が支援すべきことを見ていきましょう。
この章のまとめ
1.女子選手は成長期を迎えると身体の変化に伴い、水中での感覚が大きく変わる
2.上記の1.に伴い、選手自身も新しい身体に合った泳ぎのコツを習得する必要がある
3.選手ひとりでは2.の実施難易度が高いのでコーチや保護者の支援が必要
コーチ・保護者が支援できること
最後にここまでの内容を踏まえ、コーチや保護者が気をつけるべきことを見ていきましょう。
3つの内容をまとめたので、ご参考ください!
支援1.選手の状態把握を慎重に
先述の通り成長期を迎えた女子選手は、戸惑いを感じるシーンが増えてくる可能性があります。
なのでコーチは、選手の体調や様子に合わせて寄り添うコミュニケーションを行い、必要であれば、トレーニングの強度や内容を調整できると良いです。
とはいえ、選手の詳細な状況を知ることはなかなか難しいと思います。なので、タイムというすぐ分かる成果だけで判断するのではなく、「泳ぎの状態」や「選手の表情」など定性的な情報から状況を察知して、コミュニケーションとることが大切になってくるのではないでしょうか。
また、保護者の方も、可能であれば月経周期やホルモンの変動をアプリなどでトラッキングしておくことで、トレーニングを休ませる判断してあげたりなど、無理をさせないようなサポートができると良さそうです。
支援2.泳ぎ方の調整・変更
身体の形が変わるので、新しい身体の形に合った適切な泳ぎ方に変えていく必要があります。
ですので、定期的に泳ぎをチェックし、身体の変化に合わせて微調整する取組みを行っていきましょう。
例えば、ビデオ撮影を用いて「過去の泳法」と「現在の泳法」の比較を行い、ボディポジションの位置や、フォームやバランスを評価しましょう。
その上で、新たに鍛えるべき筋肉や技術を特定し、身につけるためのトレーニングを行っていきましょう。
このあたりは、以下の考察記事が参考になります。
引用:Yahooニュース「渡部香生子が見せた進化と 今井月の抱える問題点」
支援3.食事量の最適化
最後に、食事を通した支援です。
成長期には骨、筋肉、内臓などの身体の多くの部位が成長・発展するため、適切な栄養素の摂取が求められます。特に、スポーツを行っている女子は、通常の成長に加えてトレーニングによるエネルギーの消費が高まるため、その分の栄養補給が必要です。
以下の栄養素は特に大切ですので、毎日取得できるような食事を心がけましょう。
▼特に大切な栄養素
- カルシウム:成長期の骨密度の増加に消費する栄養素です。栄養素の不足を引き起こさないよう定期的な摂取を行いましょう。
- タンパク質::タンパク質は筋肉の成長と回復に必要です。成長期は特にこの栄養素を必要とするので同じく必要量の摂取を行いましょう。
- 鉄:女子選手は、月経による鉄の損失のリスクがあるため適切な摂取量を毎日確保する必要があります。鉄の不足は、疲労や運動パフォーマンスの低下を引き起こす可能性があります。
栄養に関する記事は、以下が参考になるので是非ご参考ください。
参考記事:水泳選手の食事。知っておくだけで変わる「速くなる為の栄養補給」とは?
また一方で、過度な食事は急激な体重増加になる恐れがあります。日々の変化を考慮した細かい食事調整が大切になりそうです。
急激な体重増加についての参考記事は以下が参考になります。
引用記事:Number web「 女子選手が必ず直面する思春期問題。伊藤華英が語る生理と競技の関係。」
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は「成長期の女子水泳選手を支援する際に気をつけたい3つのコト」を紹介させていただきました。選手が日々頑張っている練習を成果につなげるためにも、コーチや保護者の方でも、しっかりとサポートを行っていきましょう!
最後に
また、女子選手に限らずともでも、ジュニア選手の更なる成長に向けて、もっと良い方法がないか悩まれることも多いと思います。
トップのジュニア選手がどんな取り組みをしているか知りたい!という方は、Oなどの全国大会でメダリストを輩出しているコーチ陣が、メニュー設計のポイントを紹介しているトレーニングシェアというサービスもあるので、気になる方は是非みてみてください。
参考記事:【コーチ向け】選手を成長させるために効率的に学び続けよう!
最後までお読みいただきありがとうございました。